真・CHINA WARS

episode

~ふぁーすとえんど~

20061221

商学部3年 レン

 

1.ぷろろーぐ

三国志には数多くの人物が出てくる。三國志]ではその数650人!その中には名将もいれば凡将もいる。だが、不当に低い評価を受けている人物がいるのも一片の真実である。具体例は枚挙に暇がないほどだ。張遼や劉延などは好例である。その中でも特に不当な扱いを受けているのは誰であろうか?最早言うまでも無いかもしれないが、敢えて言おう!

           袁術 公路(以下、陛下と呼称)

その人である。曰く帝位を僭称した、奢侈を極めるために人民から搾取した、配下に見捨てられた、孫堅に兵糧を送らなかった…なんたる醜悪!強欲!俗物!これほどの人物は三国志中を見渡してもそうそういるものではない。

これは真実なのか?!笑止笑止!笑止千万!そんなものは一握りのエリートが時の権力者に媚び諂い、聖なる唯一の歴史を汚して生き延びようとした結果なのである!この愚か極まりない行為により、我々は一人の英雄を失った!これは敗北を意味するのか?否!始まりなのだ!我々が長きに渡り陛下の功績を伝えることが出来たのはなぜか?諸君!それこそ我らが三国志研究会の正しさを証明する何よりの証!真実の座標なのである!

だが、史書はそれを語ろうとしない。諸君らが愛する、親愛なる我らが陛下は穢された!なぜだ?!確かに、その歴史は落着したかに見える。諸君らはこの歴史を対岸の火事として見てはいないか?しかし、それは重大な過ちである!今こそ我らはその愚かしさを大衆に教えなければならないのだ!

幾星霜の年月の中、多くの先人達が時の寄生虫に蝕まれてきたのだ。この悲しみも怒りも忘れてはならない!それを陛下は死を以って我々に示してくれたのだ!諸君よ起て!悲しみを怒りに換えて、起てよ諸君!真実を伝えることこそが我らが使命!                                                                                    大成帝国万歳!

 

2.陛下、御経歴

 (1)司空袁逢の子(2)袁紹の従弟。侠気のあることで知られた。(3)孝廉に推挙され、郎中に任命され、(4)中央と地方の職を歴任。その後折衝将軍・虎賁中郎将となる。董卓に後将軍に任命されるも、これを善しとせず(5)南陽に退去。董卓討伐戦に参加し、配下であった孫堅を手足の如く使い、これを撃破。しかし、連合内の不和により解散。野心を顕にした従兄・(6)袁紹の不義を憎み公孫瓚と同盟(7)遠交近攻という王道たる外交戦略を展開する。陳留に進軍するも友国の怠慢により曹操・袁紹連合軍に惜敗する。九江へ転進し、揚州を支配する。逆臣・李カクが接触を図るも、利用した上で逆臣を見捨てた。

 後漢の命運尽きたるを悟り、群臣を集め、自ら帝位に就き、天に厄災を静め、地に民を鎮撫することを願い、天道を行く事を下問した。しかし、時流も見えず、過去の妄執に取り憑かれた(8)抵抗勢力による反対にあったこともあり、敢えて儀礼に習い、一度帝位就任を見送る。だが世の乱れを嘆き、心乱れること甚だしく、197年ついに、(9)天命を受け皇帝に即位。同年、呂布と対峙するが勇退。また、姦雄・曹操と再度矛を交え、勇戦のうえ、転進。淮南の固執の愚かさを悟り、袁紹に禅譲する英断を下すも途上で病を得、崩御。

                              (魏書 (10)袁術伝他)

解説:

1:四世三公の名門出身

2:妾腹の子などとは血筋が違う

3:清廉さ、孝行心の篤さが顕れている

4:陛下の有能さを示している

5:董卓の悪性をいち早く見抜いた結果と言えるだろう

6:劉虞を皇帝に立てようとした袁紹を後漢の臣として不忠であると非難した

7:戦国時代の名宰相・范雎に並ぶ戦略眼の持ち主である

8:主簿の閻象が反対した。しかし、その後の天の意志を示す瑞兆が見られたという張烱の説を考えれば以下に妥当性の無い論であるかは明白であろう

9:予言書の「漢に代わるものは、当塗高である」という記述が証明している

(「塗に当たりて高し」の意味で、名が術、字が公路なので、「塗」に通じると考えるのが妥当)

10:本来ならば「列伝」ではなく「本紀」であるはず

 

3.考察

 言うまでもなく、当会は伝統的に陛下の偉大さについて研究を重ねてきたという歴史がある。ここで偉大なる先人達の優れた研究成果の骨子を整理しつつ更なる考察を進めていきたい。以下の項目を読み進めれば、陛下の偉大さの一端が理解できることだろう。

 

・名前の高貴さ

・漢室への忠誠心

・卓越した先見性

・負け戦と英雄

・人材を求めること渇するが如し

・近代的な経済政策

・エコロジー政策

・陛下の御心

・お茶の間の陛下

 

1)名前の高貴さ

「公路」即ち天下の王道を行く意である。混乱期に新時代を拓くべく邁進し、天下を慰撫するために帝位にまで昇りつめたその一生は、当に王道を歩み続けた人生であったと言えるだろう。

また「公路」は諱である「術」と共に「塗」(みち)を示す言葉であり、陛下が漢室の後を継ぐのは必然且つ天意に沿ったものといえる。…資料@

 

2)漢室への忠誠心

陛下の忠誠はその言動からも明らかである。袁紹と共に皇室を穢す宦官に天誅を下し、天子を蔑ろにする董卓の討伐に参加し、天下簒奪の意を見せる孫堅・孫策を利用しつつ警戒し、袁紹の劉虞即位に不忠を唱え、彼らの是非を問う書簡に対し道理に基づき拒否している。これらの事実からも陛下の帝位継承は時代の流れと、単に天下万民を想っての事であると想像するに難くない。

呉書には『漢室の衰亡を観察して、密かに異心を抱いていた』などと記されているが、この異心というのは、天下を統べる強力にして清廉なる君主がいないことで混乱が一層深まっている現世を嘆き、人民が苦しむことを憂慮され、漢を継いで自らが皇帝として善政を敷くしかないという悲痛なまでのお覚悟のことを示している。あたかも陛下が漢室に対する不忠の念を抱いていたかのような記述だが、陛下の忠孝は先例からも解かる通りであり、この記述は事実歪曲も甚だしい。燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや。…資料A

 

3)卓越した先見性

 もはや漢王朝の最高は不可能であると認識した点は後の周瑜や諸葛亮と軌を一にするものであり、そのことを190年代前期に構想に取り入れた点は、陛下の並々ならぬ先見性と度量の大きさを示し、そして志の遠大なることを証明している。

 陛下が在るべき姿に御昇りに成られたのが西暦197年。この前年に曹操は献帝を擁立している。諸葛亮の天下三分の計が207年。孫権が周瑜・魯粛の言を入れて曹操と雌雄を決することを決めたのが208年である。これを見れば如何に陛下が時代を先取りしていたかがわかる。言うまでもなく、漢王朝はこの後衰退の一歩を辿っていく。袁紹も曹操も献帝擁立前はその存在価値を否定していたにもかかわらず、結局それに縋らなければ天下を安定させることは出来ないと考えた。首尾一貫しておらず詰めが甘いといえる。それに比べ、陛下の予測力と決断力は際立っていると云えよう。…資料B

4)負け戦と英雄

 確かに皇軍の勝率が低いことは否めない。しかし、それ即ち天下を争う器でなかったというのは浅薄である。劉備や劉邦を見れば一目瞭然であろう。惜しむらくは諸葛亮・張良のような名参謀がいなかったことであろう。

また弱軍でありながら領土が次々と拡がっていったのは陛下の徳の高さを示していると云えよう。

 

5)人材を求むること渇するが如し

 天下人の他聞に洩れず、陛下は人材収集に熱心であった。彼が幕下に迎えようとした人物は文武百官数多い。華歆、陳珪などはその後の出世具合から見ても陛下の眼力が如何に優れていたか証明されるだろう。ただ彼らの殆どは陛下の先見性を理解出来なかった。一歩先行く天才は常に孤独なものである。

 

6)近代的な経済政策

 陛下の最も素晴らしい政策はその経済政策である。政府自らが消費し、支出することによって、経済を振興するという20世紀のケインズ政策的なことを陛下は行われたのである。2世紀の時代に1800年近く先取りした政策を実行する先見の明を革新と言わずしてなんといえばよいのだろうか?

 

7)エコロジー政策

 もう一つ特筆すべきは陛下の行ったエコロジー政策であろう。魏書袁術伝(不本意ながらも敢えて一般的名称を用いたが本来は本紀である)によると陛下の荒淫や奢侈により淮南一帯には何もモノが無くなったかの如くに書かれているが、それは誤った解釈であって、陛下は農薬等を使うことなく田畑の雑草害虫の類を根絶したのである。従ってこれをエコロジー政策と云っても過言ではあるまい。

 留意すべき点は正史(一般的名称)を記したのが晋の歴史家・陳寿であるという点である。晋は魏から禅譲を受けたため、魏の武帝(曹操)を正統とみなしている。曹操と覇権を争った陛下の経歴は改悪されていることを考慮に入れなくてはならない。よって陛下の高度なエコロジー政策は理解されることなく曲解されたのである。

 

8)陛下の御心

 陛下の伝を見るとさも悪政を行い民を苦しめたかのように記されているが、民衆の蜂起や逃亡といった記述は一切ない。晋によって記された歴史書である以上晋にとって都合が悪くないものを隠蔽する必要は皆無である。つまり陛下の統治下においてそのような事実は無かったと断定しても良いものと思われる。民もまた喜んでその身を陛下に捧げていたのである。荒淫奢侈とは言語道断なのである。

 また陛下は臣下の者にも寛容である。陛下の記述を見ると配下に対し刑を執行したという記述は存在しない。陛下の御心と時流を知ることの出来なかった反対派にさえ何の咎も無かったのである。

 そして陛下の慈愛の心はその放浪期にこそ顕れている。陛下のためならば貧困も苦にしなかった皇民たちを陛下は敢えて連れて行かなかったのである。陛下の偉大さを理解し得ない俗物どもにいつ襲われるかも知れぬ、辛く苦しい逃避行に愛しい民達を連れて行くのは忍びなかったのであろう。それもまたアイのカタチなのである。人民を引きずりまわした挙句、自分可愛さに盾として用い、大量に虐殺させた徳物気取りのやくざや、実際に虐殺した宦官の孫、気に喰わない臣下を粛清し続ける三代目、配下の意見も碌に聞かずに投獄してしまう従兄たちを引き合いに出すまでも無く、陛下の徳は遍く四海に響いているのである。

 

9)お茶の間の陛下

 陛下はお茶の間でも人気者である。ゲーム中の能力である魅力100からもそれは明らかであり、「袁術陛下」でググると9570件ものhitが出ることからもその人気がうかがい知れる。「小早川金吾ちゃん」の1件だけや「文遠どの」の33件、「文遠殿」の1910件、「袁紹閣下」の756件と比べればその人気は際立つだろう。

 

4.終わりに

 さて、これらの研究結果からどのようなことが解かっただろうか?従来の陛下に対する世評が如何に不当極まりない悪意に満ちたもので、根拠の無いものであったかが白日の下に晒されたといっても過言ではないだろう。ここまで来て陛下を「時流の見えない男」などと一蹴するものはよもやおるまい。陛下を省みることも無く、頭から愚かだと決めつけ鼻で笑っていた己の未熟を悔い改めてくれれば幸いである。今後も次代へと陛下の崇拝が受け継がれていくことを願って止まない。

 確かに陛下は結果的に敗者になってしまったかもしれない。だがそれは=弱者ではない。諸君らの胸に手を当ててみよ。陛下の高邁なる志は今尚我らの胸に行き続けているではないか!己の信念を貫けぬ男など生きていても死んでいても惨めなものである。その点で言えばただ時代に流されただけの木っ端役人や下っ端とは違う。孔明・曹操と比べても遜色ない人物なのである。

       ただ崇め讃えよ!

真実はあり、諸君はその

目撃者である!

真・CHINA WARS

episode π

1.兀突骨

兀突骨の正体は何か?これは長年の謎だった。人は言う。「いや、演義の作り物だから」それは真実だろうか?何も無いところからあんな突拍子も無いイメージが湧くものだろうか?そんなわけがない!だから考えた。考えに考え抜いた。そして結論に至ったのだ。その結論とは何か?ずばり、兀突骨の正体は

パンダ

である!

 

2.理由

まず身長3m。頑丈な体。ウロコみたいなのが生えてる。凶暴。火に弱い。これをパンダに当てはめてみる。体長3m前後。筋肉質な体。ウロコに見えなくも無い白黒模様。クマ科特有の獰猛さ。そして獣は火にビビる。

以上のような理由から

兀突骨≒パンダ

である。間違いない!

 

参考文献:

『三国志T』今鷹真ら訳、筑摩書房

『争点公路』森脇大兄、当会過去レジュメ(2004

『愛せよ袁術』荒木大兄、当会過去レジュメ(2005

google

 

 

 

 

 

 

 

歌集(袁術レジュメのお約束…だって)

袁術皇帝の歌(バビル二世の替え歌)作詞:宮本大兄

T.親衛隊に囲まれた    立派な宮殿に住んでいる

  正義の皇帝       袁術公路

  袁氏の天下を築くため  文武百官命令だ

  丞相袁胤甥っ子だ    張勲 橋蕤大将軍

  劉詳 紀霊は地を駆けろ

U.側に女官を侍らせて   豪奢な生活送ってる

  超時代的皇帝      袁術公路

  逆賊曹操倒すため    三つの政策命令だ

  臨時徴発エコロジー   公孫瓚とは同盟だ

  思想=忠誠関係だ

 

成國グランギニョル(月蝕グランギニョル替え歌)作詞:レン

頭上には天命 堕ちるは戦乱の世 幕開きし漢國グランギニョル

  橋蕤と梁綱が 手を取り踊り巡る 欲望カルナバル 誰もが群れの中

  袁術一人 果てない夢を見る

 

今は亡国 漢王朝の片隅で 暗き闘争 敵国の腹を探る

  輝く伝国璽を 拾い上げこの胸に 向けて翳すたび 当塗高が 生きる痛みに滾る

 

  極彩の楽園 独裁者の庭園 時は漢王朝 魔の都

  グロテスクな戦 眠れる君は陛下 公路サクリファイス 名門の威光で

無垢なる魂 禅譲を迎えよ

 

  着飾りし罪 道端の民家で 望みは蜜水 民からの恵みはなく

横たわる君の 最期の一言は この朕に捧ぐ供物なれ 蜜水の甘い香り

 

  幻覚の平穏 残酷なる皇帝 終わりなき成國グランギニョル

  李豊と楽就が 手を取り踊り笑う 成國四将軍 そして誰も無能

  武帝に震え 呂布を思い出す

  

  極彩の楽園 独裁者の庭園 時は漢王朝 魔の都

  グロテスクな戦 眠れる君は陛下 いざゆけ袁公路 大成國皇帝

  

  頭上には天命 堕ちるは戦乱の世 幕は閉じ成國グランギニョル

  袁術公路が 抱き合い踊り果てる 陶酔ニルバーナ 人々は叫ばん

  神の言葉を 大成帝国万歳!

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